炭焼きを体験しよう

炭焼きは化学だ‼

退職してから炭焼きに挑戦して21年。ようやく炭焼きとは何かが分かってきた。

 当地では昔から炭焼き人は長生きだといわれている。山仕事には足を上げて歩かなければならず、窯への出し入れは足腰がしっかりしていなければ出来ない。そして炭パワーの遠赤外線が体を守ってくれるからだ。

 私の焼いている炭は家庭用に使われている木炭で、備長炭に代表される白炭ではない。江戸時代は当地でも白炭が焼かれていたが、木炭が庶民に使われるようになると木炭のシェアが多くなった。

 木炭と白炭の違いは窯構造の違いもあるが、炭化の仕上げで行うネラシの温度に違いがある。

 木炭は窯内のネラシで温度が800~850度で止め窯にするが、白炭はネラシの時、炭を窯外へ掻き出し空気に晒し1000度以上の高温で消し粉をかけて仕上げるのだ。

 木炭に使われる樹木はカシ・クヌギ・ナラなどが主流であるがその他植物はなんでも炭になる。

 炭に使われる木の元素は概ね炭素等が50%酸素44%水素6%である。さらに炭素等を分けると炭22%タール16%木酢液7%木ガス5%だ。したがって木から酸素・水素・タール・木酢液・木ガスを取り除けば固定された炭素、炭が残るのだ。

 但し固定された炭素、いわゆる炭を燃やすと灰が残る。この灰は炭素とともに固定されたミネラルである。

 木は空気の少ない窯内で熱していくと組成分解が始まる。

 先ずヘミセルロースで100度以上になると分解し熱を出し始める。次にセルロースにバトンタッチしさらに窯の温度は上がる。275度になると木自身の発熱で組成分解が進み、350度になると最後のリグニンが分解し木の成分が煙と炭に分かれるのだ。この様に炭窯は化学変化を起こさせる施設なのだ。

 これらの現象は、プラントで原油の温度を徐々に上げていくと、沸点の低いガソリンから、高温になるに従いナフサ・灯油・軽油・重油・アスファルトと石油製品を精製する施設と同じだ。いわば炭窯も化学プラントといえる。

 昔の炭焼き職人は化学等知らなくとも炭を焼いていた立派な先端技術者だったんですね。

                                    【炭焼き記】より

半兵衛炭焼塾  代表 木曽野正勝 君津市市宿408 

mail: hanbei@alpha.ocn.ne.jp ☎ 09046215043

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